脳科学からの学習について、科学的な観点からの池谷先生の講演メモです。
入力より出力が記憶の定着につながる。この脳の仕組みを利用した学習方法としては、一度だけまとめをつくり、反復テストをすることで記憶定着の効果があがる。ノートを見返しても記憶は定着しない。効果が上がらない。
海馬からシータ波が出ている=興味を持っている状態であると、学習効果が高くなる。
従って脳は年齢を重ねて衰えるのではなく、マンネリ化が海馬の活動の活性化(シータ波)を妨げている。
「年齢だから記憶力が衰える」というネガティブは暗示は特に良くない。
「心理テスト」と「暗記テスト」というふたつの言葉で同じ内容のテストをしたケースでは、若者グループは心理も暗記も同得点だったが、高齢者グループは「暗記」の場合に得点が半減した。
シータ波を出すためには、場所の移動という方法と、もうひとつが睡眠中である。一日を通じてレム睡眠の間にシータ波が最も多くでている状態になる。これは睡眠中に学習した内容を整理している状態と言える。これは脳が「入力モード」と「整理モード」のふたつを切り替えており、暗い部屋で何もせずじっとしていると睡眠と同じ効果がある。
学習方法として時間的に「集中学習」と「分散学習」では、分散学習の方が記憶定着が良い。一気に覚えたものは一気に忘れる。ただし一度きりのテストでは一夜漬けでも同じくらいの点数になる。
受験のような長期戦は分散学習がよい。これは途中に睡眠が入るから記憶が整理されて定着する。また勉強は夜の方が睡眠中の記憶定着がなされるため圧倒的に定着効率がいい。覚えることは少なくとも夜が最もいい。夜は記憶のゴールデンタイムだ。寝る前の1〜2時間が最も良い。夜更かしはダメ。
腹が減ると「グレリン」ホルモンが出てくる。それが多いほど記憶力が上がる。これは海馬にもグレリンを受け止める仕組みがあり、空腹になると記憶のスイッチが入る。そのため、食事の前が勉強に向いている。
身体こそが脳の唯一の情報源であるから、脳は身体を観察して自分の状況を判断している。
「横になるから眠くなる」
授業中眠くなるのは、座ってじっとしている身体の休息状態だからである。
「笑うから楽しくなる」「泣くと悲しくなる」「逃げると怖くなる」「見るから欲しくなる」
環境や身体情報が先で、感情は後からついてくる。
箸をヨコに咥えて「イーっ」とすると、ドーパミンがたくさん出てくる。笑顔を作っておくことが脳にとっても幸福な状況である。
そして笑顔は周りに伝染する。
脳は出力をする仕組みである。表情や姿勢が感情を牽引する。そして身体の姿勢が表情よりも優先される。
やり始めたら気分が乗る。作業を始めたら脳が興奮する。これを「作業興奮」という。
したがって「やる気」は身体で迎える。やり始めるまで「やる気」はでない!
心は脳ではなく、身体や環境に散らばっているのである!
脳は身体の奴隷でしかないのだ!
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