続 ・ 議員定数削減は改革か?

先日書いた記事「議員定数削減は改革か?」について、なんとfacebookに57件もの「いいね!」をいただいていたことに気づき、ほんとうに驚きました。
何しろ普段のウェブサイトへのアクセス数は20~30程度。この記事の時には急激に増えておりました。ちょっと刺激的なタイトルだったことも、大いに関係があったかもしれません。

業界内での議論や法的なことなど、おカタい分野については不勉強なので触れませんが、議員定数削減に突っ走ること、その意義が何なのか、落ち着いて再確認しておきたいのです。

議員(議会)の役割り

議会として「良し悪しを判断するためのチカラ」がなければなりません。これが議会の判断の自主性の基盤であります。

その判断力を議会が確保するために、必要な議会全体の「総合力」の観点からみた場合、議員の数によって確保できる様々な能力があります。これは単純に足し算になりますから、人数は多いほうがいい、ということがいえます。
でずが、その人数確保のためには議員報酬というものが関わってきますので、あまり多くの人数を確保することは経費の面から実現することは難しい、ということも同時にいえます。
報酬を下げて人数を確保しろ、という意見もありますが、 議会に関わる人的資源の質を確保するためには、相応の報酬がなければ参入できませんので、ここでは現状維持として考えることにします。

さて、ここで先日わたしが批難した「議員定数削減」が、どう影響するのか、ということについて簡単に図示します。

定数削減が単独で先行してしまうと、単純に総合力が低下するだけです。

10人      →       8人
■■■■■■■■■■ →  ■■■■■■■■□□

これを「行政改革」と言ってしまえる議員の感性が理解できませんで、ホニャララピーとアタマの中のことを記事にしておいたわけですが、これで良しとしてしまえるのであれば、今の議会が不要な組織だ、と言っているようなものなのです。そのために議会改革推進協議会の場では大反対をさせていただきました。

で、反対するだけでは脳が足りんとお叱りをうけるので、わたしは次の方法をもってする議員定数削減を達成するためのプロセスを提示したいと思います。
この方法がだいたい機能できるなら、議員定数は8人でちょうどいい、と思っています。この定数で運営している海外事例を目の当たりにして、本気でそう思えるようになりました。

方法:

STEP 1
議員個々および議会全体としての活動の向上を図り、少人数でも総合力がUPする体制を整える

10人     →   10人
■■■■■■■■■■ →  ■■■■■■■■■■+■■■■■■■■■■

STEP 2
そのために必要となった経費をみながら、十分な審議をするに足る能力を確保できる議員定数を目標として設定し、議員定数を削減する。

10人     →   7人
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ → ■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□

STEP 3
選挙の改選後についても一定数は再選される議員があるので、その後の短期間集中的な研修により質を確保し続ける。

7人(新人2名)
■■■■■■■■■■□□□□ ⇒ 研修 ⇒ ■■■■■■■■■■■■■■

いかがでしょうか?

議会全体が高い水準を獲得できるよう目指していく “STEP 1” とするために、「議会の機能の活性化」をテーマとして議会改革をしなきゃならんのじゃ!ということが今の目標となるべき、と思っています。

またこのような全体の方向性をもって取り組むのが議会改革の本質ではないかと思うわけです。「議会改革」というのは本来、議会という組織が地方分権時代にさらに自立して機能するようになることであるはずです。地方自治制度においては主権者たる住民の代表として、大事な意思決定を行う集団です。その集団のメンバーとして「住民全体」の将来の幸福を担っているんだ、という自覚をもって活動するべきでありましょう。

さてこのような議会を作るにはどうしたらいいのか、ということなんですが・・・実際に、そのような取り組みをしている地方自治制度が、フィリピンにあります。昨年のGWにフィリピン大学の教授にフィリピンの地方自治体を教えてやるから来い、と呼ばれて自費で研修にいってきました。そこで出会った地方の首長・議員は、本当にかなりハードなトレーニングを受けていました。

最初の100日トレーニング、というメニューがあり、任期中に自分が何をしなければならないのか、目標設定と目標の達成管理を真っ先に作るように指導されます。指導者は大学の先生で、継続的に地域の情報を調査していて精通している人です。そのひとの前で自分で考えた任期中の活動プランを発表するんですが、新人議員はボコボコにやられていました。僕が訪問した先のいくつかの田舎の町でも大学院卒の弁護士が議員の半数くらいでしたから、いわゆる名誉職ではなく、非常に実践的な地方自治になっていると思います。もっと強烈なのは、政策面でもそのような取り組みをしなければなりませんが、さらにそこに政党同士の競争が入ってきます。政治業界は生半可なものではありませんでした。

議会制度は諸外国の運営を調査・研究して制度比較することで、さらに大きな成果があげられるのではないか、と思っています。

さて、前回の記事のことに話しを戻しますが、57件の「いいね!」を下さった方がどんな方か解っていないのですが、それだけ「議会改革」に興味があるかたがいらっしゃる、ということかと思います。
僕には文才がないと自覚しているので、皆さんにうまく伝えることができませんが、もうちょっと読んでいただけるように、工夫して書くように心がけます。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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