中学校の校則を見直してほしい

以前より子育て中のお母さんからご相談をいただいていた中学校の校則。髪型や服装、髪留めのゴムの色や靴下の色、はたまた下着の色まで指定されています。

ご相談いただいている内容は具体的に書くと特定できてしまうのでここでは割愛しますが、問題は「なぜそのようなルールになっているのか?」という根本的な疑問について充分納得できるような答えが学校から返ってこない、ということです。

私は大人になってから白のソックスで黒の革靴を履いたことはありません。だいたい黒の靴下を履いています。たまに気分転換でカラーのを履くこともありますが、靴下の色がカラフルだから気になって仕事ができないなんてこともありません。某有名人が素足に革靴を履くスタイルで有名ですが、それのせいで演技やトークが鈍ったりはしていないと思います。

大人がやらないことを子どもに求めるのを当たり前に受け入れている価値観に、疑問を持つことから初めていただくことはできない事なのでしょうか?

自らを統治するルール

日本に限らず民主主義的法治国家において、基本的には人は自由ですよ、というのが前提です。ですがそれぞれが自由に行動すると、他人の自由を侵害することもおきます。例えば夜中に大声で歌いたい人と、静かに寝たい隣人同士では利害関係が対立してしまいます。話し合いなどで解決すれば良いのですが、そうはうまくいきません。したがって法律や条例という一般的なルールを決めておいて、個別具体的には裁判で解決を図る仕組みになっています。

その土台となっているのが、民主主義という制度です。国民が自ら(厳密にはその代表者となる選挙で選ばれた議員)決めたルールで問題解決を図る仕組みです。国王に命じられてルールをつくったわけではありません。国民が自らを統治するために作ったルールです。民主主義の仕組みによって決められたルールは、その成立に至る手続きを得ているからこそ、守るべき理由や価値があると私は考えています。

校則は誰が決めているのか?

さて、それでは校則については誰が決めているのでしょうか?

これは各学校の校長先生です。

日本国憲法を思い出してください。憲法改正の手続きがちゃんと第96条に書いてあります。ところが校則には守るべき項目は書かれていても、改正の手続きは記されておりません。なぜでしょうか?

もうお気づきかと思いますが、校則改訂の権限があるのは校長だからです。なので校長先生がある日突然に校則改訂することも可能ですし、在職中に変えたくないと思っていたらずっと変えないことも可能なわけです。

ここからは相談者さんのご意見も踏まえつつ、わたしなりにも考えていることを明らかにしたいと思います。

自らを統治するルールにすべし

相談者の方やわたしがここで問題視しているのは、校則を守らされている生徒が自発的に認めたルールではない、というその成立と、ルールに妥当な根拠が見当たらないという2つの点からです。

校則を守らされてはいますが、生徒は学校に所属するさいに校則を守ることに対して宣誓や同意を行なっていますか?少なくとも公立学校ではそんな手続きは行っていないはずです。であるならば守らないといけない根拠はなんなのでしょうか?私にはその必然性が見当たりませんでした。

とはいえ、一定程度のルールは作っておいて守られるべきということそのものは理解します。だから校則を設けるのであれば、生徒が自らが納得してルールを守るため、校則を改廃することを正しく理解・認識した上で、生徒たち自身の判断が反映されるべきものと考えます。

また当事者が判断力が不充分な未成年であることを考慮すると、それまでの議論が充分な理由と根拠に基づいたものなのかどうか見極める必要があるかもしれません。したがって校則の改正には最終決定を行う事については校長の同意が必要とされることが容認されても良いかもしれません。

主権者教育として校則が最適なテーマ

中学校の社会科で、日本の民主主義の制度について学ぶ機会があります。三権分立や衆議院・参議院、議員定数や選挙制度などの「民主主義制度の枠組み」を学んではいるものの、制度運用の中身には全く触れていません。

最近では投票率もドンドン低下しています。タレントやアイドルが選挙啓発のポスターやイベントをやっていますが、それで投票率は上がるのでしょうか?。夏休みか何かに選挙啓発のポスターを描いた記憶はあっても、選挙を何のためにやっているのか体験的に学ぶという機会は無いことが、そもそも問題だと思っています。

だからこそ、子どもの間にいちばん身近な校則を教材として自らを統治するルールをつくることを体験的に学ぶ主権者教育を中学校の中でしっかりと行っていただきたいと考えています。

校則見直しの参考資料

文部科学省 校則の見直し等に関する取組事例事務連絡 令和3年6月8日

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1414737_00004.htm

日本若者協議会 校則見直しガイドライン公表

https://youthconference.jp/archives/4239/

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